| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) F1-10 (Oral presentation)

タンガニイカ湖のなわばり性藻食シクリッド類の多種共存:メタゲノミクス解析を用いたシクリッド類の藻食性における特殊化と種間の多様化の解明

*畑啓生(愛媛大・院・理工),田辺晶史(京大・院・人環),山本哲史(京大・院・人環),大久保智司(京大・院・人環),東樹宏和(京大・院・人環),宮下英明(京大・院・人環),幸田正典(大阪市大・理),堀道雄(京大・院・理)

生態系の一次生産者とその消費者との間には、込み入ったネットワーク関係が見られる。陸上では被食防衛を獲得する植物と、それをかいくぐる植食者との共進化が両者の適応放散を促し、地球上の生物多様性を生み出してきた。水域生態系では一次生産者は藻類で、私たちはこの藻類と、それを利用する藻食魚とのネットワーク関係をアフリカの古代湖、タンガニイカ湖で調査した。湖の南端、ザンビア国カセンガ岩礁域では、14種に及ぶ藻食性シクリッド類がなわばりを争いながら共存している。それらシクリッド類の藻園となわばり外から藻類を採集し、またシクリッド類の胃内容物を採集し、16SrDNA領域を用いてメタゲノミクス解析を行い、塩基配列ベースで藻類の組成を明らかにした。

湖岩礁域では、光合成生産者として緑藻類、珪藻類および藍藻類が優占し、計234OTUが見られた。各種シクリッドと、その藻園の藻類とのネットワークには有意な入れ子構造が見られ、全てのシクリッド種の藻園となわばり外に生育するジェネラリストが15OTU、1種の藻園のみに出現するスペシャリストが50OTUで、スペシャリストの藻類が生育する藻園にはジェネラリストの藻類も生育していた。各種シクリッドと胃内容物の藻類とのネットワークにも有意な入れ子構造が見られ、特定の種特異的な藻類のみに依存しているシクリッド種はなかった。シクリッドは藻園の藻類を主要な餌資源としていたが、一方で緑藻類は胃内容からは検出されず、利用されていなかった。これらの結果から、水域の生産者藻類と藻食者との間の複雑なネットワーク関係について論じる。


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