| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-063 (Poster presentation)

高CO2における競争環境で適応的な性質は何か:シロイヌナズナジェノタイプ間の競争実験

*今野晋太朗,小口理一,尾崎洋史(東北大・生命),松島野枝(国立環境研),河田雅圭,彦坂幸毅(東北大・生命)

大気中のCO2濃度は増加している。CO2の上昇によって、植物は光合成が促進されるなどの影響を受ける。とくにC3植物では、成長や適応度の増加の傾向がみられるが、その応答は種や条件によって大きく異なる。そのため、将来の生態系の種組成は大きく異なるだろう。

本研究では、高CO2における競争において重要な性質の探索を目的とした。野外などでは他個体との相互作用の影響があるため、孤立状態で高いパフォーマンスを示すものでも、競争下で有利になるとは限らない。そのため、孤立個体の高CO2への応答だけでなく、競争環境での応答も多く研究されており、CO2上昇によって競争の結果が変化することが分かっている。このような先行研究の多くは、2種を競争させた研究である。2種間の競争実験も重要であるが、2種間に様々な性質の違いがあり、どの性質が競争で重要なのかを知ることは難しい。そのため、本研究ではシロイヌナズナの20ジェノタイプの種子を10個ずつポットにランダムに蒔き、人工気象室を用いて二つのCO2濃度×二つの栄養塩濃度で生育する競争実験を行った。そして、そのような競争的な環境下で勝った個体がどのような性質をもっているか調査する。ジェノタイプごとの性質は、孤立で生育した個体の成長解析データやガス交換データを用いる。

生育実験は終了し、現在は競争に勝った個体・負けた個体を識別するためのジェノタイピングを行っている。本研究では、それぞれの環境で競争に勝ち残る上でどのような形質が重要かを解析した結果を報告する。


日本生態学会