| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-096 (Poster presentation)

大峯山系亜高山帯における環境条件の違いによる針葉樹稚樹の生残と生育

*山本美智子, 松井淳(奈教大), 辻野亮(京大霊長研)

大峯山系弥山周辺のシラビソやトウヒが優占する亜高山帯では、ニホンジカの個体数密度の増加に伴いシラビソの更新の阻害が起こっている。これは、剥皮によって成木が枯死することに加え、林床環境の改変によって実生の定着が阻害されることが原因と考えられる。また、シラビソと共に優占するトウヒの稚樹への食害や生育環境への影響も明らかになっていない。そこで本研究では、シラビソとトウヒの稚樹の生残や生育へ影響を与える環境要因を明らかにするため、調査を行った。

弥山周辺の約100 ha の範囲内に、10 m ×10 m の区画を40 箇所設置した。環境要因として、区画毎に斜面方位、最大傾斜、地形、森林タイプ、5 m ×5 m 毎に開空度、GLI(Ground Light Index )、地表平滑性、枯死木と倒木の量、林床タイプを記録した。また、区画内の成木(dbh 5 cm 以上)と稚樹(樹高50 cm 以上、dbh 5 cm 未満)の樹種、dbh、樹高、樹幹の剥皮率を計測し、稚樹は頂枝の成長量も計測した。

区画毎の個体数の幅は、シラビソは0‐110 個体、トウヒは0‐21 個体だった。シラビソの稚樹は16 区画、トウヒの稚樹は37 区画に出現し、全区画をあわせて、シラビソは298 個体、トウヒは240 個体生育していた。


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