| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-110 (Poster presentation)

札幌市街地における鳥類分布と将来予測―NDVIを用いて―

*中島 夕里 , 山浦 悠一 , 赤坂 卓美 , 愛甲 哲也 , 三島 啓雄 , 森本 淳子 , 中村 太士

現在、世界人口の半数以上は都市に居住しており、都市の生物多様性を高める事が近年求められている。生物多様性の指標として鳥類は優れているとされ、その分布は街路樹・庭木・公園などの緑の分布が規定要因となっている。そこで、本研究では北海道札幌市で鳥類分布と緑の分布の関係を明らかにし、鳥類分布予測モデルを作成した。更に、札幌市の都市緑地計画から4タイプの緑地生成シナリオを作成し、各シナリオで鳥類分布を予測した。

調査対象地域は、政令指定都市で多くの鳥類が観察されている札幌市街地とした。鳥類調査は、2012年5~7月に行った。100m×100mの平方区画内で目視とさえずりから種を記録した。出現鳥類は森林性鳥類・草地性鳥類・都市性鳥類・水性鳥類の4つのグループに区分した。緑地状況は、植物の光合成活性の指標であるNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指数;10m解像度)を用いて、1)区画内のNDVI合計値2)周辺NDVI合計値3)山塊からの距離4)樹林地面積5)緑地の連結性の有無6)周辺河川の有無を算出した。これらの説明変数を用いて、4つの機能群の種数を応答変数とした回帰モデルを作成した。鳥類分布予測シナリオを作成する為、札幌市の【みどりの基本計画】を参考に仮想緑地を作成し、得られたモデルを用いて鳥類分布を予測した。

解析の結果、都市性鳥類は緑地状況と有意な関係がみられず、水性鳥類は6)のみ有意に正の影響を有していた。また、森林性鳥類では1)3)、草地性鳥類では1)3)5)6)を用いた予測モデルがベストモデルとして選択された。そして、森林性鳥類は4シナリオ間で大きな違いがみられなかったが、草地性鳥類は都心部にも緑地を創出する事などで種数が増加する事が明らかになった。


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