| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-169 (Poster presentation)

系統進化に伴うニッチの変化は日本におけるツツジ属ミツバツツジ節の多様化を促進したのか?

*渡辺洋一(名大院・生命農),阪口翔太(京大院・農),戸丸信弘(名大院・生命農)

東アジアの温帯に分布するツツジ属ミツバツツジ節(Rhododendron sect. Brachycalyx)は日本で特徴的な多様化を遂げた分類群であり、開花時期などのフェノロジーの違いや落葉・常緑などの生活形の差異が認められる。日本と韓国の一部で28の種・変種が認識されているが、それぞれの種の分布は北海道から九州の温帯に分布する種や日本海側の多雪地に分布する種、九州・沖縄の温帯・亜熱帯に分布する種などさまざまで、分布が限られた地域固有種も複数存在する。また、先行研究により、ミツバツツジ節は日本に分布する種のみで単系統群を構成することが確認されており、日本で多様化が生じたと考えられている。

それぞれの種は異なる分布域を示すため異なるニッチを有すると考えられるが、ニッチの変化は進化プロセスとどのように関連しているのだろうか?そこで、①核の翻訳領域(2,000bp)と葉緑体の非翻訳領域(4,000bp)の塩基配列に基づいた集団遺伝学的なアプローチによる系統関係の解明、②生態ニッチモデリングを用いて気候条件に基づいた現生系統のニッチの推定と祖先形質の復元を行った。これらの解析により、系統進化に伴うニッチの変化および系統間のニッチ分化の関係を明らかにし、日本におけるミツバツツジ節の多様化と適応放散のプロセスの関係を解明した。


日本生態学会