| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-196 (Poster presentation)

インドネシア・サトウキビ農場における土壌管理の違いはリターの糸状菌群集構造を変える

*三浦季子,金子信博(横国院・環情),Niswati, A., Susilo, F.X., Swibawa, IG., Muhajir, U. (Univ. Lampung)

土壌糸状菌は、土壌有機物(SOM)の主な分解者である。熱帯地域における農地のSOMを管理するには、農地管理が糸状菌の群集構造やその変化を通して有機物の分解に及ぼす影響を明らかにすることが重要である。本研究では、(1)慣行耕起から不耕起への変換、およびバガス(サトウキビの搾りかす)のマルチが糸状菌のバイオマス、群集構造、および糸状菌:細菌バイオマス比に与える影響、(2)不耕起とバガスマルチの併用効果、(3)糸状菌群集とサトウキビ葉リター分解速度の関係を見出すことを目的とした。試験地は、インドネシア・スマトラ島ランプン州のサトウキビプランテーションに設置した。糸状菌のバイオマスと群集構造解析には、それぞれPLFA法およびT-RFLP法を用いた。不耕起区の糸状菌バイオマスは、慣行耕起区に比べて2倍高かった。一方、慣行耕起区にバガスマルチを施用することで糸状菌バイオマスは約2.5倍高くなった。また、不耕起によって糸状菌のOTU数が多くなったが、バガスマルチ施用によって特定の糸状菌種の生育が阻害された。不耕起とバガスマルチの組み合わせは、糸状菌バイオマスに対し相加あるいは相乗的な効果は認められなかった。リター分解速度は耕起による影響は認められなかったが、バガスマルチによって約20%低下することが認められた。以上の結果から、不耕起とバガスマルチは糸状菌のバイオマスを増やし、糸状菌の群集構造を変化させることが明らかになった。これらの変化は、リター分解に影響する可能性が示唆された。


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