| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-361 (Poster presentation)

犬を用いたセイヨウオオマルハナバチ巣の探索例

*藤本伸也(帯広畜産大・畜産),紺野康夫(帯広畜産大・畜産)

セイヨウオオマルハナバチ (Bombus terrestris 以下セイヨウ) は特定外来生物に指定されており、野生化した個体群の撲滅が急がれている。そのため、春先に冬眠から覚めたセイヨウ女王を捕まえて駆除する活動が積極的に行われている。しかし、この活動によってセイヨウの個体数が減少したかは明らかでない。セイヨウは1シーズンに数十から数百匹の新女王を産生するため、生殖個体が生まれる前に巣を発見することも駆除の有効な方法と思われる。しかし、主に地中に営巣するマルハナバチ類の巣を探索することは困難であり、有効な発見方法が確立されていなかった。

近年、日本とイギリスにおいて探索犬を用いたマルハナバチ巣の探索が研究されており、一定の成果を上げている。しかし、それらの既往研究には詳細な探索犬の訓練方法や野生巣探索方法が記述されていなかった。そのため、本研究では、探索犬の訓練、野生巣の探索を行い、探索犬の訓練方法、野生巣探索方法を詳細に記述し、マルハナバチ巣探索犬育成方法の1例を報告する。また、本研究では、犬の年齢、性別、犬種において既往研究で使用された犬とは異なる犬を使用し、マルハナバチ探索犬の適性についても考察した。また、1種のマルハナバチ巣の匂いを犬に覚えさせ、野外探索を行った結果、犬は3種のマルハナバチ巣と3種のアリ巣を発見した。既往研究において、1種の巣の匂いを覚えた犬が複数種の巣を発見できることは明らかにされていたが、何の匂い成分を頼りに探索を行っているかは明らかでなかった。そこで、今回の探索結果から、犬が探索の手がかりとしている匂い成分を推定するための予備的な実験を行った。


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