| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-367 (Poster presentation)

西ジャワ州の国立公園に侵入する木本性移入種の評価

鹿児島大学 大学院 生命環境科学専攻 工藤芳文*,鈴木英治,Zaenal Mutaqien,Atih Sundawiati

インドネシアの熱帯林は世界的な生物多様性の高い森林があり、いくつもの保護区が設定されている。しかしそこでは伐採などによる森林劣化問題と同時に、移入種による多様性の低下も懸念される。そこで我々は西ジャワ州のグヌンハリムン・サラク国立公園で、森林の劣化が進んだコリドー区域に侵入している木本移入種3種Maesopsis eminii、Calliandra calothyrsus、Bellucia pentameraの分布状況を調べた。幅10mのベルトトランセクトを東西に長いコリドーの主尾根に沿って1本、南北に3本、合計13.3km設定した。3種の樹高1.3m以上のDBHと座標を測定し50mごとに全種の林冠の被度、林冠の高さを記録した。結果M. eminii、C. calothyrsus、B. pentamera はそれぞれ284本、 2987本、そして 53本が記録され、胸高断面積合計は21.4㎡ 、 7.7 ㎡、 0.089㎡ だった。主尾根の東西ラインではM. eminiiが多く全体的に分布し、C. calothyrsusは集中分布を示した。コリドー外の集落に通じる南北ラインには、比較的C. calothyrsusが多かった。M. eminii は被食型動物散布で遠くまで散布され、成長も速い高木であるためコリドー内部の林冠で優占する可能性を持つ。一方、C. calothyrsusは機械的散布により母樹近くに散布される低木で、林床に高密度の実生群を形成し萌芽も多く集落付近に密生するが、天然林への影響は少ない。B. pentameraは近年侵入したと言われる種であり、まだ個体数が少なかったが、動物散布を行うためこれから内部への侵入が懸念される。


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