| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-198 (Poster presentation)

局所的分布種オオママコナの送粉昆虫と花形態の適応:ママコナ属におけるポリネーターを介した生態的種分化の可能性

*長谷川匡弘(大阪市立自然史博),楠瀬雄三(高知大)

蜜を蓄えている花筒の長さについては、数多くの分類群でその長さに対応した口吻を持つポリネーターが存在し、花粉の受け取りや持ち出しが効率よく行われることから、植物の生態的種分化にとって重要であると考えられてきた。花筒長を介した種分化のモデルとしては、ダーウィンが提唱した「軍拡競争モデル」に加えて、ポリネーターシフトという考え方も検証されているが、花筒長を介した生態的種分化過程については明らかになっている例が少ない。本研究で用いるママコナ属は主にマルハナバチ類が有効なポリネーターとして知られており、花筒の長さはそれらのマルハナバチ類の口吻長と一致する10-15mmの範囲のものがほとんどであるが、近年記載されたオオママコナ(Melampyrum macranthum)は、同属の他種より顕著に長い花筒を持つ。ママコナ属には花筒長の変異が種・変種間でみられ、開花性・花色などのその他の花形質は種によって大きく異ならないため、ポリネーターを介した生態的種分化への花筒長の効果を検証するには最適な材料であると考えられる。しかし、オオママコナは限られた地域に特異的に分布し、これまで花形態の詳細な調査や、生態的な調査が全くされておらず、どのようなポリネーターが送受粉を行うかも明らかになっていない。本研究では、オオママコナの送粉生態や同属他種も含めた花形態の変異等の基礎的情報の調査を行い、以下の事項について明らかにした。1)標本調査、現地調査を行いオオママコナの分布状況及び、紀伊半島における同属他種(シコクママコナ、ママコナ)の分布状況を明らかにした。2)オオママコナの花形態について特に花筒長に注目して同属他種と比較を行った。3)オオママコナ生育地において送粉昆虫の調査を行い主要なポリネーターを明らかにした。


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