| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-304 (Poster presentation)

ニホンモモンガはなぜ巣内に同居するのか?

小林朋道 (鳥取環境大・環境)

ニホンモモンガは単独生活を行う種と考えられているが、単独性哺乳類の中では珍しく、複数の成獣が同一巣内に同居する場合があることが知られている。ニホンモモンガで同居が行われる理由をさぐるため、以下の3つの仮説を考え、各々の仮説が正しいとした場合に想定される、同居の頻度の季節的差異、同居する個体の性の組み合わせなどについての状況と、実際の調査結果を比較し、各仮説の妥当性を検討した。仮説1:営巣場所が不足するため。仮説2:交尾相手を確保するため。仮説3:寒さから身を守るため。調査は樹木に設置された巣箱で見られる同居行動を対象に行われたが、これまでの調査から以下の結果が得られている。①同居の頻度は、冬-早春に高く、夏は低い傾向があった。また、同居例の多くは2個体によるものであったが、冬-早春では3個体の場合も見られた。②同居する個体の性別については、雌と雄の場合と雄と雄の場合が同程度の頻度で見られ、雌と雌の同居の頻度は低かった。これらの結果から、仮説3の妥当性が示唆された。


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