| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-338 (Poster presentation)

大きさが異なる洞窟におけるコウモリの利用種の月別変化

*佐藤遼太,青井俊樹

改題「洞窟棲コウモリにおける洞窟利用状況の変化―利用種の個体数及び性別と温度環境の関係―」

日本の洞穴棲コウモリの多くは初夏から夏にかけて出産、保育を行い、秋に交尾期を迎えて、冬季間に冬眠をする生活史をとる。そして、この生活史に合わせて、いくつかの洞窟を使い分けるとされる。季節によって移動し、また、一時的な利用もすることから各洞窟について長期間モニタリングを行わないと、その洞窟を利用しているコウモリ相を正しく把握する事が出来ない。洞穴棲コウモリは広大な洞窟から岩の裂け目まで、様々な場所を利用するとされるが、広大な洞窟でも生息がほとんど確認されなかった事例や、新幹線高架橋の小さなスリット内に1000頭以上が生息していた事例があることから、洞穴棲コウモリは、洞窟の大きさによって利用の有無を決定せずに、洞窟の温度や湿度といった環境条件の違いによって利用する洞窟を選択している可能性がある。しかし、洞穴棲コウモリの生息場所の環境に関する報告は少ない。何の種が、どういった環境条件を、いつ利用していたかという基礎的な生態の解明は、生息地の保全のために不可欠な情報であり、事例を積み上げていく必要がある。そこで本研究では岩手県において、環境条件の異なる洞窟2か所で、洞窟を利用しているコウモリの種と性別、及び洞窟内外の温度・湿度環境の長期モニタリングを行い、環境条件と利用しているコウモリの生活史の関係の一端を明らかにする事を目的とした。

結果は冬眠期と活動期に分けた。冬眠期に関しては、コキクガシラコウモリは洞窟内温度が10度以下のときに冬眠に入る事、冬眠期間にも洞窟内の個体数が変動する事についての報告を行う。活動期に関しては各洞窟の個体数及び性別の推移、各洞窟の洞窟内・外気温の推移と個体数および雌雄の推移などについて報告する。


日本生態学会