| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-369 (Poster presentation)

ビオトープ池におけるカワバタモロコの定着過程

田中哲夫*(兵庫県大 自然研),佐藤祐司(兵庫県大 自然研)

神戸市北区にあるキリンビール神戸工場のレフュジア・ビオトープにコイ科の絶滅危惧種カワバタモロコをはじめとした水生動物を放流し,その数と環境要因の変動とを2002年から2012年までの11年間継続して調査した.2002年5月に放流した241個体のカワバタモロコは放流後に急速に増殖し、翌年の2003年秋には採集個体数が4,000、推定個体数は12,000個体に増加した.導入直後の爆発的な増加後ビオトープ池のカワバタモロコの個体数は3,000個体前後で安定している。カワバタモロコと前後して導入したメダカ・モツゴ・ドンコも定着に成功したが、タモロコ・トウヨシノボリは定着しなかった.また甲殻類ミナミヌマエビの密度は放流後非常に大きくなったが、その後急激に減少し2009年には採集できず絶滅した模様。カワバタモロコの密度と想定競争者・捕食者メダカ・ミナミヌマエビ、また物理化学的環境要因との関係を探り、カワバタモロコを絶滅に追いやった要因を明らかにする。また、その後実施した小学校ビオトープへの放流結果についても報告する。結論:卵・稚魚の捕食者(自らの親が真犯人である可能性大)のいない、新たにできた一時的水域にばら撒けば無尽蔵に増殖する。


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