| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-390 (Poster presentation)

暖温帯における人工林と二次林の発達段階とカミキリムシ類の種構成の関係

*佐藤重穂,松本剛史(森林総研四国),岡部貴美子(森林総研)

四国地域では森林がきわめて高度に利用されてきた結果、森林面積の6割以上がスギ・ヒノキを主とする針葉樹人工林で占められるとともに、天然林のほとんどが薪炭林として利用された二次林であり、老齢の天然林はごく小さい面積でしか残っていない。こうした地域で森林の生物多様性を保全する方策を立案するためには、それぞれの森林タイプに生息する生物の種の特性を把握するとともに、今後、森林が時間の経過とともにどのように推移するか予測することが重要である。カミキリムシ類は森林依存性が強い種群であり、かつ種数が多いため、森林の生物多様性の指標として適している。演者らは針葉樹人工林と広葉樹二次林において林齢の変化にカミキリムシ類がどのように応答しているか知るために、発達段階・遷移段階の異なる人工林と二次林のそれぞれに調査地を設定してカミキリムシ類の種構成を調べた。

調査地を高知県西部の低山域に設定し、5年生から100年生までの発達段階の異なるヒノキ人工林、遷移段階の異なる広葉樹二次林、老齢天然林の合計20箇所において、2010年と2011年の6月から10月にマレーズトラップを設置し、カミキリムシを捕獲した。合計で92種のカミキリムシが捕獲された。人工林では、発達段階の初期の若齢林でカミキリムシの種数がもっとも少なく、林齢の増加とともに種数が増加し、下層植生の発達した80年生以上の高齢人工林ではもっとも多かったが、複層林として下層に針葉樹が植栽された林分では少なめであった。一方、二次林では若齢林で壮齢林よりも種数が少ないものの、人工林と比べるといずれの段階でも種数が多かった。これらの結果から、ヒノキ人工林、広葉樹二次林のいずれにおいても、林齢の増加に伴う発達段階・遷移段階に対応して、カミキリムシの種構成が変化するとともに、下層植生にも影響を受けているものと考えられた。


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