| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-460 (Poster presentation)

異なるチャンバー法による土壌CO2フラックス測定法の比較

橋本徹,阪田匡司(森林総研)

森林土壌CO2フラックスは、巨大な炭素ストックである森林土壌からのCO2放出過程であり、その時空間変動は炭素循環に大きな影響を与える。そのため、土壌CO2フラックスを正確に測定する必要がある。土壌CO2フラックスの測定には様々な手法があるが、どの手法も利点欠点があり、どのような現場、目的にも使える万能な手法というものはない。そこで、本研究では、主要な土壌CO2フラックス測定法の一つである密閉法について、三種類の方法で測定し、その特性を比較した。

調査は、森林総合研究所北海道支所羊ヶ丘実験林で行った。20m四方のコドラートの四隅と中央に、直径40cmのステンレス製チャンバー(大)と直径20cmの塩ビチャンバー(小)をそれぞれ一つずつ埋設した。大チャンバーでは、蓋で密閉した後、真空バイアル瓶で定期的にガスを採取し、ガスクロマトグラフで分析した(測定法1)。小チャンバーでは、バイサラ社製のGMD-20を用いた測定(測定法2)と大起理化工業社製のDIK-0450を用いた測定(測定法3)を行った。これらの3種類の手法による同時測定を、6月と8月の2回行った。

三つの測定法の平均とそれぞれの測定法の値を比較したところ、いずれの測定法も0.97以上の高い相関が見られたが、6月の測定法1と3手法平均の相関が0.94と低かった。3手法平均と比べて、測定法2は高めの値、測定法3は低めの値が出る傾向が見られた。

土壌CO2フラックスの高低の傾向を同一手法内で比較する目的であれば、どの方法でも可能であることがわかった。三つの方法は、労力、コスト、測定時間などが異なる。それらを勘案して目的に合致した最適な測定方法を選ぶことが、効率的な測定のために重要である。


日本生態学会