| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS01 (Poster presentation)

ギンリョウソウ周辺における外生菌根菌群集構造

*西村明洋,*永末透威,*藤森友太,*越智匠海(立命館慶祥中学校・高等学校)

外生菌根菌(ectomycorrhizal fungi 以後,ECMと呼称)とは,木本植物に対して養水分を供給する一方,植物からは光合成産物を受け取るという共生関係を築く菌類のことである.ECMの共生機能は菌種によって異なり,ECMの群集構造の相違によって,樹木の生長や森林内の物質動態に与える影響も変化する.また,ギンリョウソウ(銀竜草,学名:Monotropastrum humile)はシャクジョウソウ科の真っ白い植物である.葉緑素をもたないため独自で光合成産物を生産することができず,自らの根に形成される外生菌根を介して,宿主樹木が光合成により生産した同化産物を吸収して生長すると言われている.ただし,外生菌根菌とギンリョウソウの関係は中立であると考えられている.

しかし,ECM群集構造において,ギンリョウソウ直下と宿主樹木周辺との類似性の有無は未だ不明である.そこで,ギンリョウソウ付近のECMのネットワークの解明を最終目的として,本研究では,ギンリョウソウ直下と宿主樹木周辺のECM群集構造の関係について調査し,多様度指数および類似性指数を算出した.

その結果 ,ギンリョウソウとECMとの関係は,これまで理解されていたような中立関係にあるのではなく,「本質的にはギンリョウソウがECMに寄生している」可能性があることが判明した.今後は上述の可能性の真偽を明らかにするために,さらなるデータの蓄積・解析を進める.


日本生態学会