| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


シンポジウム S04-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

リモートセンシングによる植生分類

村上拓彦(新潟大)

広域にわたる植生分布状況を把握するためにリモートセンシング(人工衛星,航空機)データの画像分類がよく行われる。画像分類の原理は,土地被覆毎に異なる分光反射特性に依拠している。植生の分光反射特性は,高い近赤外域での反射率と低い可視域の反射率の組み合わせが特徴である。従来型の画像分類手法には,教師無し分類(K-mean法,ISODATA法など)や教師付き分類(最尤法など)がある。特に最尤法は最も採用されている手法と言えるであろう。ちなみにこれらの手法は全てピクセルベース分類であるが,ピクセルの集合体を分類の最小単位とするオブジェクトベース分類も盛んに行われるようになっている。この背景には1999年に登場した高分解能衛星IKONOSがある。高分解能データでは従来均一とみなしていた空間を詳細に捉えることが可能になった反面,これまで考慮する必要のなかった空間の不均質性に分類を乱される事態が生じるようになった。オブジェクトベース分類は植生のパッチ構造のマッピングに適した分類手法である。これは人間の認識系に近い分類アプローチともいえる。その他,ニューラルネットワーク,CART法,SVM(サポートベクタマシン),Random Forestなど近年発達してきた機械学習なども取り込みつつ日々新しい分類手法が試されている。センサも数バンドのマルチスペクトル型のものから多バンドのハイパースペクトル型まで多様である。特に,人工衛星搭載型のセンサにおいて,従来型のバンド構成から少しバンドが増えたものが登場している。エンドメンバー法も植生を対象としたリモートセンシングで特徴的なアプローチである。赤色域と近赤外域で構成される特徴空間では植生(V),土壌(S),水域(W)が三角形の頂点に対応するかたちで分布する。これらの頂点をエンドメンバーとして植生,土壌,水域の混合状態を評価することができる。


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