| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) C1-08 (Oral presentation)

小面積当り種数の頻度分布モデル

*塩見正衛(放送大・茨城)・陳俊(西北農林科技大学・動)・N. Gaborcik(Slovakia)・山村靖夫(茨城大・理)

研究の課題は、「ある草本群集内に多数の小コドラートを置いたとき、コドラートに含まれる種数はどのような規則に従って分布しているか?」である。

一組のデータは、1998年スロバキア山地・土壌研究所でとったデータで、50個の50 × 50 cmのコドラートを草地において、存在している種をコドラートごとに全部記載した。Taraxacum officinale, Trifolium repens, Trisetum flavescens, Dactylis glomerata, Poa pratensisが優占する半自然草地であった。もう一組のデータは、陝西省神木の半乾燥にある自然草地でとったデータで、90個の50 × 50 cmのコドラートを用いた。優占する種は、Leymus chinensis, Artemisia scoparia, Cirsium setosumであった。

コドラートごとの種数の頻度分布のグラフは、平均を中心に左右にほぼ対称になる。この頻度分布は、横軸は0, 1, 2, …とかぞえられる種数である。頻度分布の特徴は「平均>分散」である。この特徴はおおざっぱに言うと、コドラートごとの種数は、ほとんどのコドラートに出現する種、めったに出現しない種、両者の中間くらい出現する種で成り立っていることである。この構造をもつモデルは次式のようになる:コドラート当り平均種数をμ+kとするとき、i種が存在するコドラートの割合P(i)は:

P(i)=eμi-k/(i-k)! , i = k, k+1, k+2, …, ∞ (k ≥ 0の整数) 。

このモデルは、上記のデータによく適合した。その他の地域の55組のデータでこのモデルの検証を行ったところ、54組がモデルに適合した。


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