| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) D1-03 (Oral presentation)

アオウミガメ亜成体の行動分類と1日の時間配分

*福岡拓也(東大・大気海洋研), 楢崎友子(St Andrews大学), 山根美咲(東大・大気海洋研), 佐藤克文(東大・大気海洋研)

植物食者であるアオウミガメは、日中に活動性が上昇する事が知られている。また、本種の目は明所で良く見える構造をしている。よって、本種は日中に視覚に頼った採餌を行っている可能性がある。本研究では、動物搭載型記録計を用いた行動分類を行って1日の時間配分を把握し、採餌行動が行われている時間帯を調べるとともに、動物搭載型カメラの情報も合わせて本種の採餌行動の詳細を報告する。

2007、2012、2013年の9月に、三陸沿岸域の定置網で混獲されたアオウミガメ亜成体に3Dロガー(n=4、測定項目:遊泳速度・深度・温度・3軸加速度・3軸地磁気)およびビデオロガー(n=2)を装着し、放流後の詳細な行動を記録した。ビデオロガーに記録されていた休息時と活動時の3Dロガーにおける加速度データから、ウミガメの行動を「休息」と「活動」に分類した。また、3Dロガーによって得られたデータより計算した水平移動軌跡から、1分間の直線移動速度が平均0.2m/s以上の「活動」を「移動」とし、それ以外の「活動」を「滞在」とした。

4個体から合計12日間の行動データと24時間の映像データを得た。休息は1日の41.8±20.9%、移動は11.7±16.2%、滞在は46.4±5.1%の時間を占めていた。摂餌行動は主に「滞在」中に行っており、採餌中は狭い範囲にとどまっている事が判明した。「滞在」の割合は4個体中3個体で日中に20-50%高くなった。また、ビデオロガーには、餌場で視線を動かしながら採餌する様子が記録されていた。さらに、餌場に優占している褐藻類ではなく、紅藻類を多く利用していた。以上の事から、アオウミガメ亜成体は日中に活発に採餌を行い、その際に視覚によって海藻を選択的に探して摂餌していたと考えられる。


日本生態学会