| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) G2-09 (Oral presentation)

中立仮説における中立性の破り方が多様性のパターンに与える効果

*大浦健志(阪大・サイバー), 時田恵一郎(名大・情報)

生物群集の個体数のパターンはフィールドの測定によってその統計的な性質が観測されてきており,それらの実データを説明する理論は複数提唱されている.2001年にHubbelによってその価値が示された中立仮説(中立モデル)はその1つであり,フィールドから得られた結果をよく説明することから盛んに議論されている.中立モデルにおいては各生物種の出生率,死亡率,移入率などのパラメータがすべて等しいとする強い仮定をおく.この仮定は直感的に現実の生態系を反映したものとはいえず,この点から批判を浴びてきた.本研究の最終的な目的は,なぜ中立仮説が現実の生態系のパターンが再現できるのかを明らかにし,またそれによって生態系ダイナミクスの素過程を理解することである.Liuらは空間構造のない中立性をゆるめたモデルを導入したが、空間的な分散制限が多種の共存に寄与するという議論があることから本発表においては空間構造を考慮した適応度を定義し,適応度を各種間で一定に保ったままトレードオフの関係にある各パラメータが種ごとにばらついている場合を考える.このほぼ中立モデルにおいて、ばらつきの大きさなどを変え中立性をゆるめた場合と中立モデルとの多様性の違いを報告する.


日本生態学会