| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-032 (Poster presentation)

岡山県旭川の河道内に生育する樹木の生態学的研究-河道内に生育するニワウルシの生態-

*太田謙(加計学・植物園),波田善夫(岡理大・生地),堀博幸(岡山河川),清水信夫(岡山河川)

近年、ニワウルシが河川に侵入・定着して問題になりつつある。岡山県旭川においても、河道内における生育がみられ、流量阻害などにつながる恐れがある。ニワウルシの根茎は、大径の垂下根・水平根によって特徴づけられるとされる(苅住、1987)。しかし、ニワウルシの河川環境における生態の情報はまだ少ない。そこでは、河川におけるニワウルシの生長の様式を明らかにするため、地上部の年輪と根茎の発達状況を調査した。

調査地において5×5mの方形区を設定した。調査区内のニワウルシを伐採し、年輪測定用の資料円盤を採取し、年輪数を測定した。伐採後、切り株の周辺を掘削し、根茎の発達状況を確認した。掘り出した根茎は分布を記録した後に、資料円盤を採取して年輪を測定した。

若齢のニワウルシ群落の根茎を調査した結果、水平根から複数の地上茎を形成することを確認した。一方、樹高10m前後のニワウルシ群落の根茎を調査した結果、地上茎と直下の根茎の年輪が一致せず、後者の方が年輪数が多い場合が見られた。また、樹高10m前後のニワウルシ群落の土壌粒径組成は、地表から深さ30cmは粒径0.25mm以下が多く、深さ30cm以深は粒径16mm以上が多かった。水平根はほぼ全てが地表から深さ30cmまでに分布していた。垂下根は深さ30cm以深にも伸びていたが、量は少なかった。

以上の結果から、河川管理などにおいてニワウルシに対処する場合には、根茎の性質にも十分考慮する必要があると示唆される。


日本生態学会