| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-011 (Poster presentation)

Comparative RNA-seq analysis between Ulva linza and Ulva prolifera under different salinity conditions

*Masakiyo, Y., Ichihara, K.(Ochanomizu Univ.), Ogura, A.(Nagahama Institute of Bio-Science and Technology), Shimada, S.(Ochanomizu Univ.)

汽水産スジアオノリU. proliferaと海水産ウスバアオノリU. linzaは分子系統解析等から近縁種であると示唆されているが,低塩濃度適応能の有無という差がある。本研究では,スジアオノリの低塩濃度適応機構や分子進化の解明を目的に,海水,汽水,淡水条件で培養した両種藻体のRNA-seq解析により,低塩濃度下で発現が有意に増減する遺伝子の機能と発現変動を種内・種間比較した。

結果,スジアオノリで40,880本,ウスバアオノリで37,391本の遺伝子が得られ,低塩濃度で有意に発現上昇した遺伝子では,両種でイオン輸送体,スジアオノリで転移酵素,ウスバアオノリでストレス応答等が検出された。遺伝子の発現変動パターンからは,スジアオノリでは新規遺伝子の発現/新たなスプライシングバリアントの転写や,汽水適応で働く遺伝子の多量発現により淡水適応している事が示唆された。一方,低塩濃度で有意に発現減少した遺伝子は,両種で細胞接着,スジアオノリで脂質代謝が目立った。また,スジアオノリの低塩濃度で発現上昇した遺伝子の内,21本がウスバアオノリで検出された。スジアオノリ固有の遺伝子が多い事,共有遺伝子の中にも両種で発現変動が異なる遺伝子が存在する事が判明し,この点も淡水適応能有無に関わると示唆される。


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