| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-061 (Poster presentation)

乱婚のヤツメウナギにおける個体レベルの繁殖行動: 交配成功と造巣行動・産卵床間移動の関係に着目して

*山﨑千登勢(北大・環境科学院),小泉逸郎(北大・創成)

生物の繁殖行動は、交配・競争・子育て・移動など様々である。こうした性選択に関する形質(形態や行動)は、強い選択を受けるため、性差や個体差が生じ、多様な行動を行う要因と考えられる。一方、魚類などで普遍的に見られる乱婚は、不特定多数の個体が入り乱れて交配を行うため、性選択に関する形態や行動に選択が働きにくい。そのため、この様な形態や行動の多様性は、乱婚において他の配偶様式と比べて低い。しかし、本研究の対象生物であるヤツメウナギは、乱婚を行う生物では珍しく、両性による協力的な造巣(石運び)や多数の擬似産卵、スニーキング行動などの多様な繁殖行動を行う。乱婚において多様な繁殖行動を行う生物は稀で、ヤツメウナギがなぜこうした行動をとるかは不明である。本研究では、造巣行動や産卵床(巣)間に移動に着目し、ヤツメウナギの多様な繁殖行動と形態(体サイズ)が交配成功に与える影響を調べた。

2012年5月に北海道大学苫小牧研究林内の実験水槽を用いて行動観察を行った。実験には個体識別をしたシベリアヤツメのオス15匹、メス15匹を用いた。造巣の為に運んだ石の数と交配行動の回数、交配相手を時間と共に記録した。また、5分毎に産卵床間の移動を記録した。

その結果、実験開始日にできた産卵床は10個で、形成された産卵集団は24個であった。またすべての交配行動は674回、スニーキングは282回、そして石運びは3668回であった。また、石運びを多く行った個体は多くの交配成功を得ていた。一方、雄の体サイズは小さいほど多くの交配成功を得る傾向が見られた。また、多くの産卵集団を訪れた個体ほど多くの交配成功を得ていた。乱婚においても、形態や行動の違いが交配成功に影響を与える事が示唆された。


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