| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-069 (Poster presentation)

石川県沿岸に生息するアカテガニ幼生の生活史

*中山 貴将(石川県立大学), 柳井清治(石川県立大学),寺島佑樹

沿岸地帯の照葉樹林に生息する陸ガニ類(アカテガニChiromantes haematocheir,クロベンケイガニChiromantes dehaali)は夏季夜間に水辺で放仔を行い,ゾエアは海域で成長し,メガロパになって遡上する生活史を持つ.親ガニの放仔に関する研究はなされているものの、ゾエア・メガロパから稚ガニに変態する時期にかけての生態については不明な点が多く, 放仔された幼生の移動や塩分耐性などについて調べられた例は少ない.

そこで調査地として石川県と福井県の境界に位置し,陸ガニ類の生息地として知られている鹿島の森とそれに隣接する汽水湖の北潟湖を選定した.北潟湖は最大水深3.5m,水域面積2.13km2の汽水湖であり,鹿島の森の北側で大聖寺川と合流し日本海に注いでいる.2013年6月末から11月の夜間,プランクトンネットを用いて幼生の採集を行った.加えて船舶を用いて,大聖寺川河口周辺1kmの沖合で同様の調査を行った.採集サンプルはエタノール保存し,実体顕微鏡下でソーティングを行った.また、放仔時期に抱卵個体を捕獲し, 飼育実験を行った.飼育条件として塩分濃度,照度を設定した.

この結果,ゾエアは 6月下旬から10月にかけて出現し,とくに8月下旬に最も多かった.一方メガロパは8月から採集され始め,10月下旬に最も多くなった.両者とも夕方から出現し,午後9時前後から深夜にかけて出現数がピークとなった.さらに,船舶による調査から,北潟湖周辺においてゾエア は河口から1kmの範囲で拡散していることが確認された.飼育実験では,ゾエアは照度0Lx,塩分濃度3% において高い生存率を示した.以上より,陸ガニの放仔は約3か月継続し,ゾエアの浮遊期間は約1カ月であることが明らかとなった.また飼育実験から,ゾエアは海水域の射光の届きにくい水深での生活に適応していると推測された.


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