| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-131 (Poster presentation)

オンブバッタにおける脚でフンを蹴り飛ばす行動とバッタのいる高さの関係

*今坂亮介(九州大・シス生・生態研),粕谷英一(九州大・理・生物)

バッタ目の昆虫のいくつかの種では、排泄行為時にフンを後脚で蹴り飛ばす行動(以下フンけり行動)が知られており、その飛距離はオンブバッタAtractomorpha lataでは体長の約10倍程度になる。しかしながら、その研究例は少なく、行動の意義は未解明である。野外においてバッタは地平面上だけでなく、草本等の立体構造物上に登る事はごく普通に起こり得る事だが、この様な立体構造物上でのフンけり行動に関しての研究例は無い。また、バッタは、歩行や跳躍によって移動し、フンけり行動を行う場所を選択する事が可能であると考えられる。本研究では、植物体を模した垂直の棒上に放して、バッタがどのような体勢でフンけり行動を行うのかを検証し、その頻度を比較した。また、フンけり行動によるフンの飛距離を高さ毎に比較した。

実験の結果、バッタは地平面上だけでなく、棒や壁などの垂直な構造物上からもフンけり行動を行う事が明らかになった。このとき頭を上、肛門を下に向けた体勢での排泄行動は観察されたが、頭を下、肛門を上に向けた体勢での排泄行動は観察されなかった。バッタ滞在時間は足場の最も高い位置で最長となり、フンけり行動も足場の最も高い位置で最も多く観察された。各高さにおけるフンけり行動の回数を、その高さにおけるバッタの滞在時間で割る事でフンけり行動の頻度を求めた結果、足場の最も高い位置よりも、足場外の床の上での頻度の方が高くなった。フンの飛距離は、過去の研究において地平面上で水平の体勢で蹴られたフンの飛距離と比較した結果、最も高い位置から蹴った場合においても、地平面上での蹴りよりも飛距離は大きくならなかった。


日本生態学会