| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-178 (Poster presentation)

モウソウチク林拡大前線の管理圧が、稈および地下茎に与える影響

山本啓介(千葉大園芸)

モウソウチク林の拡大前線において、地上部の管理が地下茎に与える影響を調査した。調査地は袖ヶ浦市内のモウソウチク林と果樹園の境界地点である。果樹園には毎年新稈が発生しているが、それらは全て伐採されており、管理圧が高い。調査では地下茎を、一番先端から最も新しい稈まで掘りおこした。合計6本の地下茎を得た結果、5m以上侵入している地下茎を2本確認できた。起点となる最も新しい稈は2-4年生の新しいものであり、直径も9cm以上と大きかった。これを養分の供給源としていると考えられる。残り4本は4mほどで、起点となる稈は5年生以上の古いもの、または直径が6cmほどの小さいものであった。地下茎の先端は脱落していた。これは地下茎の老化と起点稈の養分供給能力の低下により、地下茎を維持できなくなったためと思われる。先の2本も数年の経過により同じ状態になると推測される。次にモウソウチク林内と境界地点で稈を比較し、地下茎の状態を推測した。10m×3mの調査区を設定し、全稈の直径を測った。調査区は林縁(果樹園側)、林縁(竹林側)、林内の3つに分け、それぞれ調査した。その結果稈の平均直径は林縁(果樹園側)で6,9cm、林縁(竹林側)で7,9cm、林内で9,1cmで管理圧を強く受ける地点ほど平均直径が小さい。稈の成長は地下茎の状態に強く依存するため、管理圧が強いほど地下茎の状態が悪くなることが読み取れた。拡大前線の新稈の伐採は本来、対症的な処置だが、地下茎を養分不足にし、侵入を抑える効果も期待できる。


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