| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-013 (Poster presentation)

東南アジアで進行中のニジュウヤホシテントウの寄主範囲拡大:1.寄主利用にみられる地理的変異

*藤山 直之(北教大・旭川), 加藤 徹(北大・院理), 小路 晋作(金沢大・地域連携セ), 菊田 尚吾(北大・院理), 村田 拓也(北大・院理), Sih Kahono(LIPI),Rosli Hashim(マラヤ大・生物科学), Yaowaluk Monthum(カセサート大・水産), 片倉 晴雄(北大・院理)

ナス科植物が祖先的寄主であるニジュウヤホシテントウHenosepilachna vigintioctopunctataは、アジアからオセアニアにかけて広く分布する食植性のテントウムシである。ニジュウヤホシテントウは2種からなる同胞種であるが、このうち分布域の南側を占める‘S型’ニジュウヤホシテントウについては、東南アジアの複数の地域で導入植物であるムラサキチョウマメモドキCentrosema molle(マメ科;以下、マメ)を併用する集団が出現することが断片的に報告されてきた。本研究では、ニジュウヤホシテントウによるマメ利用がどのような地理的範囲で生じているのか、さらに、各地域におけるマメ利用集団の出現頻度と食性との関係を明らかにすることを目的とし、マレー半島(タイ南部および半島マレーシア)およびインドネシア(スマトラ島、ジャワ島、カリマンタン島、バリ島、スラウェシ島)においてマメ利用に関する野外調査を行ったと共に、ニジュウヤホシテントウの各地域集団の食性を実験条件下で査定した。マメ利用集団はタイ南部以南の全ての地域で出現したが、その出現頻度は地域ごとに様々であり、全体として標高が比較的低い地点に偏って出現する傾向があった。また、摂食選好性についても、マメをほぼ受け入れない集団から、ナス科植物よりもマメを強く好む集団まで、地域内および地域間の両方において著しい変異が認められた。得られた結果に基づき、マメへの適応が緯度・経度・標高に応じどのように進行しているのかを議論する。


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