| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-057 (Poster presentation)

コシビロダンゴムシ科の2クレード間における形態比較と発生消長

*宮竹貴久(岡大院・環境生命)・澤谷祐輝(岡大院・環境生命)・角拓人(岡大院・環境生命)・高橋祐衣(兵庫教職員)・三浦一芸(近中四農研)

日本の在来種である陸生等脚類のコシビロダンゴムシ科 Armadillidae は、4属26種が存在する。岡山市半田山に生息するコシビロダンゴムシのミトコンドリアDNAのCOⅠ領域と核DNAの18S rDNA領域による分子系統解析を行った結果、二種のコシビロダンゴムシが生息することが示唆された(高橋data unpublished)。

これを受けて、2013年に半田山の3地点で経時的にコシビロダンゴムシを採集し、遺伝的に異なる二種を精査した結果、外部形態も異なる二種のコシビロダンゴムシSpherillo dorsalis (布村 1990,2003)とSpherillo sp. shi-1 (唐沢・川野2014)が生息することが本研究によって初めて明らかになった。上記研究と併せて、二種の発生消長、個体数、性比、体サイズを調査した。

採集された二種のコシビロダンゴムシでは、発生消長、個体数、性比、体サイズが大きく異なった。特にS. dorsalis の雄では、各採集日で得られた個体数はすべて5匹未満であり、極端な雌への偏りを示した。また、S. dorsalis の雄でのみボルバキアの感染率が低かった。ボルバキアは子供を雌に偏らせ、性転換を引き起こす。著しい性比バイアスは、ボルバキア感染による性操作の可能性が高いと考えられた。形態測定として観察した、第一肢附節の形態では、附節に生えた刺の数は種ごとに特異的な形質ではなく、体長の増加に伴ってその本数が増えることが明らかになった。第一肢附節の刺の数は成長に伴って変化するため、その数だけでは形態分類をすることは困難であることがわかった。


日本生態学会