| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-065 (Poster presentation)

メジロにおける一腹卵数の地理的変異-緯度×島-

*堀江明香,高木昌興(大阪市立大・院・理)

生物の生活史特性は同種内であっても生息地の環境の違いに応じて異なり、生活史の地理的変異として知られている。鳥類は古くから生活史進化の研究に用いてこられ、緯度の低下に伴う一腹卵数の減少や、隔離島嶼に特徴的な生活史は、生活史の地理的変異の代表例である。

島嶼の鳥は、捕食者が少なく空きニッチが多いなどの生態的特性により、長寿命で少産・子の保護期間が長いK戦略的な生活史を持つとされる。一方、低緯度地域の鳥は代謝量が低く、長寿命で少産のスローペースな生活史を持つとされる。このように島嶼と低緯度地域の鳥類は共通する生活史特性をもつが、両者は常に別々に議論されてきた。島嶼特性と緯度に沿った環境勾配はそれぞれどの程度、生活史形質を説明するのだろうか。

本研究では、幅広い緯度帯に生息し、かつ大陸と島嶼の両方に生息する小鳥、メジロを用いて、緯度と島嶼特性の両観点から生活史形質の地理的変異パターンの説明を試みた。メジロは、亜寒帯の北海道から亜熱帯の沖縄まで幅広い気候帯で繁殖し、小島嶼にも高密度で分布する。生活史形質のうち一腹卵数に着目し、沖縄県南大東島と北海道札幌市の2個体群では現地調査から、残り5個体群(長野・伊豆諸島・小笠原・中国青島・台湾)は文献から情報を得た。

メジロの一腹卵数は、低緯度に生息する個体群ほど少なく、生息地の緯度の上昇に伴って多くなっていた。また、メインランド(大陸および日本本州)と生息島嶼までの距離が長いほど一腹卵数が少ないという傾向が認められ、メジロの一腹卵数には、緯度に沿ったクラインと島嶼特性に基づく違いの両方がみられた。生活史形質の地理的変異パターンとその創出要因を理解するには、緯度と島嶼特性といった複数の地理的要因を組み合わせて考慮する必要がある。


日本生態学会