| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-085 (Poster presentation)

ギンメッキゴミグモの行動・生態と関係する多型的体色の遺伝性

繁宮悠介(長崎総科大・人間環境)

ギンメッキゴミグモは、直径20cm程度の円網を張る小型のクモで、林縁、竹林、生け垣などに生息する。造網個体は4月から12月にかけて見られ、年3化ほどの多化性である。オス(体長約4mm)は細長く銀色の腹部を持つのに対し、オスより大型で腹部も球形になるメス(同6mm)は、銀色と黒色で構成される複雑な模様が腹部背面に現れる。模様は多型的であり、さらに季節ごとに黒っぽい個体の増減が見られたり、各体色間で造網場所の選択も起こったりするようで、行動や生態と体色とがどのように関係しているのか興味深い。今回、本種の体色がどのように個体上に現れるのかを明らかにするために、孵化個体を成熟させる飼育を行い、体色の遺伝性と出現過程を明らかにするとともに、多個体の分析により体色バリエーションに見られるパターンを明らかにすることを試みた。

飼育の結果、48クラッチ中19クラッチで成熟個体を得ることができた。体色を数値化するために、腹部のデジタル画像を二値化し、腹部面積に対する黒色部の割合(黒色率)を算出し、体色の指標とした。画像の質が悪く数値化に失敗した個体を除き、16クラッチの母と娘の黒色率を回帰分析した結果、回帰係数は0.44、相関係数は0.52となり、有意な遺伝性が検出された。個体発生の過程を見ると、幼体では一面銀色だった腹部が、脱皮に伴い黒色部が出現し、脱皮間期に模様が変化することはほぼ無いことが分かった。また、飼育個体を含む200個体の黒色率を比較したところ、変異は断続的ではなく連続的であり、黒色率の高い個体でも低い個体でも共通して銀色が残る部分が腹部後方にあるのに対し、黒色率の増加に伴い腹部前方から後方に向けてくさび形の黒色部が増加していく様子が明らかになった。


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