| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-134 (Poster presentation)

沖縄県西表島における沈水性絶滅危惧植物ミズオオバコの分布と形態変化

*藤吉正明,北野忠(東海大・教養),崎原健(東海大・沖縄地域研究センター),北條芳隆(東海大・文),藤野裕弘(東海大・教養),河野裕美(東海大・沖縄地域研究センター)

一年生の水生植物であるミズオオバコは、近年の急激な生育環境の変化のため、全国的に個体数が減少している。また、地域により形態的な変異が起きることや倍数性の異なる個体の存在も知られており、保全のためにもそれらの因果関係の解明が必要である。本研究は、保全活動の一環として、近年耕作方法の変化や休耕地が広がりつつある沖縄県の西表島において、水田周辺に生育するミズオオバコの分布と形態変化を明らかにすることを目的とした。

調査地は、西表島南部の大原から西部の白浜に存在する19ヶ所の耕作水田と4ヶ所の溜池とした。調査は、2011年9月から2013年11月において、ミズオオバコの開花時期に合計6回分布調査を実施した。また、形態変化を明らかにするため、2013年9月と11月に分布が確認された調査地において、葉(葉身)の大きさや花の構造(雄蕊数・雌蕊数・子房室数)を記録した。

ミズオオバコは、7ヶ所の耕作水田と1ヶ所の溜池で確認された。ミズオオバコは、南部や東部の耕作水田でも確認されたが、西部の耕作水田で多く確認された。耕作水田においては、稲が栽培されている水田内ではなく、周辺に存在する灌漑用の水路でのみ生育が確認された。ミズオオバコの葉は、7cm前後(4cm-9cm)から17cm前後(12cm-21cm)まで記録され、大きな葉が確認された調査地は最も水深が深い場所(80cm前後)であった。花の構造も、葉と同様に調査地ごとで変化が記録された。ミズオオバコの葉の形態及び花の構造は、調査地ごとに変化し、水深が深くなる程葉が大きく、かつ雄蕊数や子房室数が増える傾向であった。


日本生態学会