| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS03 (Poster presentation)

シラホシコヤガ幼虫が示す隠れ蓑剥ぎ取り後の修復行動

*稲岡建斗, 東島康峻, 安元暁子 (早稲田佐賀高等学校サイエンス部)

生物には周りの物質を用いて隠れ蓑をまとうものがいる。例えばミノムシやコマダラウスバカゲロウの幼虫等である。蛾の一種シラホシコヤガの幼虫は餌である地衣類を用いて隠れ蓑を作る。昨年度、幼虫にとって蓑は環境の変化から身を守る上で重要であること、人為的に蓑をはぎ取ると他の幼虫から奪い取る行動を示すことが判明した。しかし、その重要な蓑をはぎ取った際に、幼虫が修復にかける時間やその手順はまだ不明である。

この2点を調べるため、約10匹のシラホシコヤガの幼虫と地衣類が付着した木片を採集した。学校で、幼虫の蓑をはぎ取り、蓑の修復行動をビデオ解析した。

観察した7匹のうち2匹は休まずに蓑を修復し、約143分で修復を終えた。残る5匹は休憩を挟み、約180分で終えた。蓑の修復は、左右交互に腹部、胸部、頭部の順に地衣類を付ける行動を繰り返すことで進んでいった。幼虫は口と口元の足を使って地衣類を木片から引き剥がし、口から出した粘液を地衣類に絡めて、体表につけていた。

幼虫にとって、地衣類製の蓑は休憩なしで2時間半かけて修復するほど重要なものであること、薄くてもまずは体の全表面を覆うことを最優先にすることが示唆された。


日本生態学会