| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS29 (Poster presentation)

カワヨシノボリの総イオン調節能力

*井戸基博, *天岡皓佑, *藤原海童, *田辺純一郎, *神﨑康平 (京都府立嵯峨野高等学校サイエンスラボ)

カワヨシノボリRhinogobius flumineusは淡水魚であるが、本種は西日本に広く分布しており、近縁種の多くが海と川を行き来する。このことに注目した先輩(木塚ほか.2013)は、本種が海水に耐えられるのではないかと考えて塩分耐性を調べた。この結果、本種は、海水には耐えられないが、他の純淡水魚より塩分耐性があることが分かった。

この実験結果を受けて、希釈海水に本種を曝露した時、体内の電気伝導率(総イオン濃度)がどのようになるかについて、以下の2つの実験を行った。

・本種を耐えられる限界濃度の希釈海水に曝露した時、体内の総イオン濃度は何時間でどのように変化するかを調べた。

・様々な濃度の希釈人工海水に約120時間曝露した時、体内の電気伝導率はどのように変化するかを調べた。

ゼブラフィッシュでは外液の濃度を濃くしていくと体内の総イオン濃度も濃くなっていくという実験結果が出ている(神崎・田辺.未発表)。しかし、カワヨシノボリの場合、外液の濃度を濃くしても体内の塩分濃度はほぼ一定であるという結果になった。

以上の結果から、カワヨシノボリは希釈した海水中では、塩分を調節する能力があると考えられた。


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