| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-HS35 (Poster presentation)

有機溶媒耐性細菌の研究

*川上夏葵, *平田あや, *瀬川美加, *渡部彩夏 (愛媛県立今治西高等学校生物部), 中川和倫 (研究指導者)

【目的】有機溶媒耐性細菌は、通常の生物なら死滅するような高濃度の有機溶媒中でも生育できる。そこで有機溶媒耐性細菌を単離し、その細菌が有する耐性のしくみや極限環境下で生育できる要因について調べる。

【方法】標準液体培地に各種有機溶媒を加え、そこに微量の土壌を入れ37℃で培養した。そこから標準寒天培地上に塗布し、シングルコロニー化した細菌を菌株として単離した。菌株ごとに各種有機溶媒の生育限界濃度を求めた。また、有機溶媒を栄養分にできる有機溶媒資化性細菌についても調べた。

【結果】数か所の土壌から数十種類の有機溶媒耐性細菌を単離できた。そのうち数種類の菌株は複数の有機溶媒に対しての耐性を有していた。また、菌株によっては極限環境下で菌体の形状が変化したり、コロニー表面でのバイオフィルムの形成が認められた。有機溶媒資化性細菌も数種類見つかった。一般に、高濃度の有機溶媒に対する耐性が強い細菌には他の極限環境条件にも強い耐性をもつものが多く、その要因として細胞膜における特殊な物質輸送や分泌物による防御の仕組みが示唆された。今度、有機溶媒資化性細菌の有機溶媒分解能力について検討したい。


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