| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-083 (Poster presentation)

隣接する植物の被食下で栄養塩量と個体間相互作用が成長に及ぼす影響

*深町美智,可知直毅,鈴木準一郎(首都大・理工・生命)

植物は被食を受ける可能性がある。しかし、被食を受けない個体(以下、非被食個体)も存在する。非被食個体の成長は、隣接する被食を受けた個体(以下、被食個体)との競争などの個体間相互作用により変化する可能性がある。そこで、非被食個体の成長に栄養塩量と個体間相互作用が及ぼす影響を栽培実験により検討した。

イタドリ(Fallopia japonica)と、それを植食するハスモンヨトウ(Spodoptera litura)の中齢幼虫を材料にした。一鉢に2本の地下茎を植え、被食個体を操作個体、非被食個体を評価個体とした。操作個体の被食、栄養塩量(貧・中・富栄養)、個体間相互作用を制限するための仕切を3要因として設定した。45日間の栽培後、11日間の被食処理を施し、植食者を回収後に9日間栽培した。また、栽培開始時の地下茎の生重量と、終了後の乾燥重量を測定した。

評価個体の地下茎重量と操作個体の個体重は共変量として、各要因の評価個体の個体重への影響を共分散分析で評価した。栄養塩量の効果は有意だったが、被食や仕切に効果は見られなかった。栄養塩量別に比較しても、被食や仕切の効果は見られなかった。貧栄養条件では、操作個体の個体重と被食の交互作用が見られ、被食を受けた操作個体の個体重が小さいと、評価個体の個体重は大きくなる傾向が見られた。また、その傾向は仕切がないと顕著だった。以上より、被食を受けた個体に隣接する、自らは被食を受けない個体の成長に栄養塩量は影響しうる事が示された。


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