| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-022 (Poster presentation)

立ち枯れ木の昆虫にとっての重要性

*尾崎研一(森林総研・北海道), 佐山勝彦(森林総研・北海道)

北海道の天然林で行われている択伐施業は森林の構造を維持したまま木材を生産できる方法であるが、立ち枯れ木等の枯死木量を減少させる。森林には枯死木を利用する多くの生物が生息しているため、これらの種(枯死材性種)にとって択伐施業の影響が懸念される。これまでに択伐林と無施業林で枯死材性昆虫の調査を行ってきた。その結果、種数や種構成に明らかな違いは認められなかったが、ハイイロハナカミキリやエゾハイイロハナカミキリのように一部の種で択伐により個体数の減少がみられた。そこで、立ち枯れ木の重要性をより直接的に検討するために、立ち枯れ木に衝突板トラップを設置して枯死材性甲虫を採集した。その結果、カミキリムシの種構成は立ち枯れ木の胸高直径と腐朽度合いに影響された。また、オオヨツスジハナカミキリやオオクロカミキリの個体数は胸高直径と正の相関があり、太い立ち枯れ木を好んでいた。択伐施業では大径の立ち枯れ木が減少するため、このような資源に依存する種の保全に配慮することが重要だと考えられる。


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