| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-037 (Poster presentation)

沖縄本島億首川のマングローブ林における若木個体の空間的分布特性

*竹村紫苑(地球研),松尾扶美,鎌田磨人(徳島大・院・工)

沖縄本島億首川ではマングローブ林が観光資源化されていて、その永続性を担保することが地域振興に不可欠である。しかし、インフラ整備によって、マングローブの生育地環境が劣化し、人工的な管理によってしか森林が維持されない状況に陥っている。本研究では、マングローブ林の自然再生を効率的・効果的に実現するための基礎資料を得るために、億首川における優占種であるオヒルギとメヒルギの実生・若木の空間的分布特性を比較し、両種の定着初期の分布の違いについて把握した。

億首川のマングローブ林内において、実生・若木が多く存在する林分と、存在しない林分が含まれるように40x10mのライントランセクトを河川横断に設置し、5x5mのサブコドラート(16個)に分割した。そして、各サブコドラートにおいて、個体の分布位置、樹高、胸高直径、葉面積、生存・枯死状況を記録した。次に、GISを用いて若木個体から親木・枯死木までの距離を算出した。最後に、オヒルギとメヒルギの空間的分布特性を明らかにするため、若木の成長量を目的変数、若木から親木及び枯死木までの距離を説明変数として単回帰分析を行った。

単回帰分析の結果、オヒルギは親木周辺のギャップ部において分布する傾向が高く、ギャップに依存する遷移後期型の分布特性を有していた。一方、メヒルギは、親木や枯死木に対する明らかな分布パターンがみられず、パイオニア型の分布特性を有していると考えられた。オヒルギとメヒルギでは種子の形態が大きく異なることから、この種子散布に関する生活史特性の違いが、両種の空間的分布特性にあらわれていると思われる。


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