| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-071 (Poster presentation)

多数の環境データを用いた海域環境の区分手法の検討:東北地方太平洋沖を中心に

*山北剛久,山本啓之(JAMSTEC/TEAMS),伊勢紀(地域環境計画),北里洋 (JAMSTEC/TEAMS)

海洋環境あるいは生物生息環境のカテゴライズは、統合的な海洋管理による適正な利用の観点に加えて、持続可能な漁業や生物多様性保全の観点からも重要である。

海域はこれまで、漁業権や港湾、自然公園や保護水面、排他的経済水域など様々な人為的区分で管理されてきた。

一方で、環境条件に基づく海域区分は、沿岸では内湾の溶存酸素量/化学的酸素要求量や栄養塩濃度、透明度などの水質基準による試みが、沖合では水温や塩分濃度によって海流を識別する試みが、それぞれ主に行われてきた。

近年、より生態系とリンクした海域区分としてのEcoregionや海域の評価を行う海洋健全度指数OHIなどが提案され、多面的な観点からのグローバルな比較が急速に進んでいる。

本研究では、特に海流の入り混じる東北沖を対象とし、保全や利用に役に立つ広域指標づくりの最初のステップとして、多数の海洋環境データを統合したデータベースを作成し、それらを俯瞰的に比較することによる機械的な区分を試み、従来の区分との比較を行った。

その結果、緯度勾配に対して、塩分、水温、リンや窒素と見かけの酸素飽和量は高い相関を示した。底層の溶存酸素は岸の近くで、ケイ素では沖合で特に高い値を示す地域が見られた。値の分散は表層水温やケイ素は沖合で大きく、酸素飽和量やリン、窒素は岸側で大きく、塩分は双方に高い地域があった。発表では、これらの条件の機械的な区分に基づき作成した東北沖のクラスターと環境変数との関係について考察する。


日本生態学会