| 要旨トップ | ESJ61 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


シンポジウム S15 -- 3月15日 14:30-17:30 G会場

生態学におけるモデル選択

企画者: 箱山 洋(水研センター/東京海洋大), 粕谷英一(九大・理)

今日の生態学では、基礎研究だけでなく、水産資源管理や保全などでの応用を目的とした研究も盛んになってきた。ここでは将来予測(例えば、個体群動態の将来予測)が重要な目的である。同じデータを用いても、モデルが異なれば予測精度は異なる。したがって、利用できるデータからよりよい予測を行うためには、予測モデルを選ぶことが統計的な問題の一つとなる。これが統計学における予測の為のモデル選択である。基礎研究でよく登場する、ある要因が効いていることが確実か、といった類の問題(検定で扱われてきた)は、よい予測とは別の問題である。

 このシンポジウムの目的は大きく二つある。一つは、モデル選択の理論をわかりやすく解説し、水産資源管理などにおける応用研究を紹介することで、その有効性と興味深さを伝える。また、モデル選択と密接な関係がある動態モデルのモデル・アグリゲーションを考えることで、モデル選択の理解を深める。もう一つは、生態学に広がるモデル選択理論の致命的な誤用について指摘することである。

 モデル選択について正しい理解を持つことは、予測精度の問題だけでなく、生態学的なプロセスを理解する方法論を改めて見直す端緒となる。したがって、本シンポジウムは、予測に関心がある研究者だけでなく、実証研究に関心がある研究者にも興味を持っていただけると考えている。

[S15-1] モデル選択と予測:その考え方と方法  箱山 洋(水研センター/東京海洋大)

[S15-2] 動態モデルにおけるモデル・アグリゲーション  巌佐 庸(九大・理)

[S15-3] 生態学におけるAICの誤用  粕谷英一(九大・理)

[S15-4] 関係式のモデリングと誤差のモデリング  岸野洋久(東大・院農)


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