| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T08-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

台風撹乱がリター供給を介して土壌窒素動態に及ぼす影響

*福澤加里部, 吉田俊也, 柴田英昭(北大・北方生物圏FSC)

台風撹乱がリター供給を介して土壌窒素動態に及ぼす影響

福澤 加里部・吉田 俊也・柴田 英昭(北大・北方生物圏FSC)

台風撹乱に伴う落葉は、森林の構造や物質生産に影響を及ぼす。窒素(N)は温帯域において生産を律速するといわれるが、撹乱後の物質生産に及ぼす影響という観点から行われた研究は少ない。本研究では台風撹乱を模倣した葉切除が土壌のN動態に及ぼす影響を調べた。台風撹乱により通常の落葉とは化学性が異なる葉が強制的に供給されれば、土壌のN動態は変化するであろうと予想した。

北海道北部のダケカンバ林において、2010年に葉切除区、対照区を設定した。2011年9月に葉切除区においてプロット内のダケカンバの葉を全て切除した。調査は2010年から2013年まで(一部2011年まで)各プロットにおいて行った。土壌(0-10 cm)および有機物層の無機N量(硝酸態N(NO3-N),アンモニウム態N(NH4-N))を測定した。また土壌0cm地点にイオン交換樹脂カラムを埋設し、2011年8月-9月(処理前)と2011年9月-2012年7月および2012年7月-10月(それぞれ処理後休眠期、生育期)における有機物層からの無機N溶脱量を測定した。

有機物層のN含有率は処理翌年に有意に高まった。有機物層ではNH4-Nが優占し、処理後に有意に増加した。有機物層からのNH4-NとNO3-Nの溶脱量は同程度であり、ともに葉切除区で高まる傾向があった。またNO3-NとNH4-Nの休眠期の溶脱速度は、それぞれ生育期の12~170倍、5~6倍高かった。土壌の無機Nは常にNH4-Nが優占し、葉切除区で高まる傾向があったが、2013年10月には両処理区で同等となった。以上から、葉切除によりN引き戻し前のN含有率が高い葉が地表に供給され、有機物層および土壌で利用可能なN量が増加したことが示された。


日本生態学会