| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T17-5 (Lecture in Symposium/Workshop)

腹足類に見られる貝殻形態の可塑性とそれにまつわる諸問題

入江貴博(東大大海研)

企画集会の総括に代えて、表現型可塑性に関して研究者間での同意形成が求められる情報を整理した上で、今後さらなる研究が期待される課題を列挙する。具体的には、次のような話題を提供する予定である:(1)表現型変異の近接要因としての「遺伝と環境」を切り分けることがなぜ重要か.(2)可塑性は自然選択を介した進化を妨害する.(3) 可塑性(反応規範)が適応的であるとはどういう意味か.(4) VG×E > 0を示すことで可塑性の適応性を証明できる場合とできない場合とは.(5) CoGVは可塑性が適応的であることの証拠となるか. (6)反応規範が拘束の産物であっても「適応的でない」とは言えない.(7)可塑性のコストはどこまで定量化されているか.(8)可塑性を打ち消す「行動」と「カナリゼーション」の潜在的効果.後半では、軟体動物の腹足類を中心とした海洋無脊椎動物に焦点を絞り、以下のトピックについての研究例を紹介する:(9)温度に対する体サイズの応答.(10)海水のpCO2に対する石灰化率の応答.(11)捕食者による貝殻形質の誘導防御.(12)餌藻類に対する歯舌形態の応答.(13)母性効果とペシロゴニー.


日本生態学会