| 要旨トップ | ESJ61 自由集会 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


自由集会 W21 -- 3月14日 18:00-20:00 E会場

二次草原の保全再生に生物多様性評価指標をどう活かすか?

企画者: 岡野隆宏(鹿児島大・教セ)

永年の人の働きかけより成立し、維持されてきた二次草原は草原性動植物の重要な生息地となっているが、農林業をとりまく社会経済の変化によって必要性が低下し、面積は減少を続けている。

 静岡の茶草場と阿蘇の草原は、豊かな生物多様性を有する二次草原が、農的営みによって維持管理されていることが評価され、2012年に世界農業遺産に登録された。両地区では、生物多様性及び管理状態を簡易的に評価する指標を開発し、保全に活かす試みが始まっている。

二次草原の保全と再生を進めていく上で重要なのは、成果を評価してわかりやすく公表することである。草原面積や野焼き面積の増減などは比較的容易に評価できるが、生物多様性については専門的な知見がないと評価することが難しい。管理の担い手や、保全・再生に取り組む市民が活用できる、生物多様性を簡易的に評価するための指標の開発が望まれている。

また、評価指標は生物多様性の「見える化」のツールであり、様々な活用が期待される。担い手が用いれば自らの農的営みがもつ生物多様性保全機能を認識する機会となり、農産品の付加価値を説明することにも使うことできる。生物多様性保全に寄与する農的を営みに対して公的資金で支援を行う際には、支援対象か否かについての評価指標として用いることができる。さらに地域の小中学校において環境教育の教材としての活用も期待される。

本集会では、静岡の茶草場と阿蘇の草原における試みと、海外で実施されている評価指標を用いた環境直接支払い制度について紹介し、評価指標を活用した二次草原の保全再生の仕組みづくりについて議論を深めたい。

[W21-1] 二次草原の保全再生の取組みと評価指標  岡野隆宏(鹿児島大・教セ)

[W21-2] 阿蘇草原再生と生物多様性評価手法の検討  岸田宗範(環境省)

[W21-3] 茶草場における指標植物と生物多様性保全への活用  楠本良延((独)農環研),稲垣栄洋(静岡大学)

[W21-4] 評価指標の開発は二次草原の保全再生に貢献するか?  高橋佳孝(近中四農研)


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