| 要旨トップ | ESJ61 自由集会 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


自由集会 W26 -- 3月17日 14:30-17:30 C会場

小笠原兄島へのグリーンアノールの侵入:外来種対策のパラダイムシフト

企画者: 堀越和夫(小笠原自然文化研究所), 千葉 聡(東北大), 可知直毅(首都大)

小笠原諸島父島列島の兄島は、健全な乾性低木林の生態系が残る世界自然遺産の核心地域の一つである。2013年3月下旬、この島で侵略的外来種グリーンアノールトカゲが発見された。グリーンアノールは、父島と母島の昆虫相に壊滅的な被害を与え、在来の花粉媒介昆虫の消失などをとおして生態系の機能にも大きな影響を与えた。本種が兄島に定着することは、進化の見本としての顕著で普遍的な価値が著しく損なわれることを意味する。

兄島へのアノール侵入は、小笠原ですすめられてきた、順応的な外来種対策のスキームの想定をこえていた。しかし、その重大性・緊急性から、発見直後から行政、民間(NPO、調査会社)、研究者、島民が連携して対策に奮闘している。その取組は、わが国の外来種対策の中でも際立っている。これまで一定の成果はあるものの、緊急事態が続いている。

この自由集会では、小笠原諸島科学委員会のもとに組織されたグリーンアノール対策ワーキンググループの座長である千葉聡(東北大)が「兄島アノール問題」を俯瞰し、専門家として対策に取り組んでいる戸田光彦(自然環境研究センタ−)が、具体的な取組と課題を整理し、小笠原で活動を続けている地元NPOの小笠原自然文化研究所の切実な声も紹介する。さらに、科学委員会委員長の大河内勇(森総研)が、小笠原の外来種問題とその対策にむけた新たなパラダイムについてコメントする予定である。小笠原関係者以外の研究者・学生にも広く議論に参加していただくことを強く期待する。

また、後半30分を使い、昨年に続いて「小笠原生態学系研究の最新フラッシュ2013」を紹介する。


日本生態学会