| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) D1-20 (Oral presentation)

温暖化に伴う琵琶湖底生種の絶滅リスク評価モデルの解析

*谷内茂雄(京大生態研), 奥田 昇(地球研), 酒井陽一郎(京大生態研), 北澤大輔(東大生産技研), 中野伸一(京大生態研)

昨年度に続き、人間活動が湖沼生態系に与える影響評価の一例として、温暖化と富栄養化が琵琶湖の底生魚類であるイサザ個体群の絶滅リスクに与える影響について報告する。「温暖な年一回循環湖」である琵琶湖は、温暖化が進行すると冬季の鉛直循環が弱まるため、低層水の溶存酸素濃度の低下などを通じた底生生物への悪影響が懸念されている。昨年の発表では、温暖化がイサザ個体群の変動を引き起こす3つのプロセス(貧酸素、水温レジーム、水温媒介型競争)の指標を説明変数として、イサザ個体群のCPUE(単位漁獲努力量当たり漁獲量)を目的変数とした「変動予測モデル」を提示した。このモデルと「流れ場-生態系結合数値モデル」を結合することで、温暖化シナリオに対するイサザ個体群の平均的な個体群変動を予測する統計モデルの結果を紹介した。今回の発表では、イサザ個体群のPVA(個体群存続可能性解析)をおこなうことで、温暖化に伴う3つのプロセスの影響を比較する。各プロセスがイサザの生活史パラメータ(生存率・産仔率)に与える影響の違いをもとにシミュレーションをおこない、生存リスクへのインパクトを感受性分析によって比較した結果を中心に報告する。


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