| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) D2-27 (Oral presentation)

相対群集代謝による群集レベル代謝活性の解析

*柴田賢一(横国大・環境情報), 雨宮隆(横国大・環境情報), 伊藤公紀(横国大・環境情報)

フラスコサイズの実験生態系であるマイクロコズムを用いて、有機溶媒のメタノールと殺虫剤フェニトロチオンの影響を調べた。メタノールとフェニトロチオンは対照的な影響を示したが、相対群集代謝(RCM)により統一的に評価が可能であることを見いだした。

藻類3種と、貧毛類1種、ワムシ2種、繊毛虫1種、細菌(5種以上)の8種からなる栗原のマイクロコズムを実験生態系として用いた。安定期に達したマイクロコズムにメタノールまたは殺虫剤フェニトロチオンを加え、動物と藻類、細菌の生物量および、総生産量(GPP)と群集呼吸量(CR)への影響を評価した。また、動物と細菌の個体数および、GPPとCRを統合的に解析することによって得られるRCMを求めた。RCMはマイクロコズムを1つの個体と見なしたときの代謝活性を示す。

メタノール添加系では2週間以上個体数には変化がなく安定していたが、GPPとCRが増加した。一方、RCMは4日で3倍に増加し、2週間以上3倍で安定していた。個体数に変動がないことから、増殖率と被食率がバランスを保ったまま上昇したと考えられる。メタノールは生分解性で揮発性も高いため、短期間で系からなくなったと考えられるが、世代を超えてRCMが高く維持されているため、システムが異なる定常状態に遷移したと考えられる。

殺虫剤フェニトロチオン添加系では貧毛類とワムシが死滅したが、GPPとCRに影響がなかった。一方、RCMは指数関数的に増加した。殺虫剤の毒性により貧毛類とワムシが死滅し、生き残った繊毛虫も殺虫剤の毒性に対応するために代謝活性を上奏させたと考えられる。また、種数を藻類と繊毛虫1種とからなるマイクロコズムでは、8種のマイクロコズムよりも代謝活性が高いという報告もある。


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