| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) K1-19 (Oral presentation)

移動速度が速いと眼が大きい: Leuckart's Lawの成立条件

里居伸祐, 巌佐庸 (九大 理学部)

Leuckart(1876)は、移動速度の速い生物は眼が大きいという法則を提唱し、この法則はLeuckart’s Lawと呼ばれている。移動速度の速い生物は遠くの障害物や餌の情報が必要であり、遠くの情報を得るためには、高いvisual acuityが必要である。大きな目をもつことは、高いvisual acuityをもつことにつながるため、移動速度の速さと眼の大きさには相関があると考えられる。近年、実際に眼の大きさと移動速度を測定して、この相関を調べた研究が報告されている。それらの研究は、Leuckart’s Lawは鳥類では成立せず(Hall and Heesy, 2011)、哺乳類では成立する(Heard-Booth and Kirk, 2012)と結論している。

本研究では、それらの違いがなぜ生じるのか、Leuckart’s Lawはどのようなときに成立し、どのようなときに成立しないのかを調べるため、コンピュータシミュレーションを用いて解析を行った。具体的には、餌や障害物がランダムに配置された二次元空間を移動する生物を考え、とれた餌の数や衝突数を記録した。また、大きな目をもつことはコストがかかると考え、餌の量や障害物の量を様々に変えて、ある移動速度に対してどれくらいの見える距離をもつのが最適かを計算した。本研究から、障害物や衝突時のダメージの増加は移動速度と最適な見える距離の相関の傾きを大きくし、餌の量の増加は傾きを小さくすることがわかった。このことから、餌が豊富で、障害物が少なく、衝突時のダメージが小さいようなとき、Leuckart’s Lawは成立しないだろうと考えられる。


日本生態学会