| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-099 (Poster presentation)

炭素及び窒素安定同位体比を用いたギンリョウソウにおける菌従属栄養性の解析

*夏目知明(京大・農・森林利用学) 末次健司(京大・人間・環境学) 岡田直紀(京大・農・森林利用学)

ギンリョウソウは、葉緑体を持たないため炭素化合物を自ら合成できず、ベニタケ科に属する外生菌根菌と菌根を形成することから、炭素を菌から得る菌従属栄養植物であると考えられてきた。菌従属栄養植物の特徴の一つに、炭素や窒素安定同位体比が、独立栄養植物と比較して、重い値を示すことが知られている。しかしながらギンリョウソウにおいて、これらの安定同位体の自然存在比(それぞれδ13Cおよびδ15N)は、詳細に研究されていない。そこで本研究では、ギンリョウソウと、周囲の下層の独立栄養植物の葉(リファレンス)、究極的な炭素源と考えられる成木の葉(アルティメットホスト)およびベニタケ科の子実体を採取し、それらの炭素および窒素安定同位体の含有率を測定した。また、同じシャクジョウソウ亜科であるが属が異なるアキノギンリョウソウも採取し同様に分析した。ギンリョウソウは植生の異なる2つの森林から採取し、植生の違いがそれら安定同位体の含有率に及ぼす影響を調べた。

ギンリョウソウにおけるδ13Cとδ15Nは、植生の違いによって有意な差が認められた。しかし、ギンリョウソウとリファレンス、およびアルティメットホストとの比較では、植生の違いによる有意差が認められないか、差がより小さくなっていた。またアキノギンリョウソウでも、ギンリョウソウと同様の傾向を示した。これらの結果から、ギンリョウソウのδ13Cとδ15Nは、生育する場所の植生等によって変化するが、リファレンスとの差やδ13Cの増加率は植生に影響されないことが示唆された。これは宿主となる菌根菌の種が同じか、近縁であることに起因すると考えられる。


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