| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-022 (Poster presentation)

岡山県児島半島の植生-1947年から2013年の植生変化と地質・地形の関係-

*太田謙(加計学園・植物園), 波田善夫(岡山理大・生地)

はじめに

岡山県の児島半島は、全国的に見ても禿げ山が広く分布している地域である。地形や植生の違いに関しては、母岩の性質の違いとともに人間活動が大きく影響することが指摘されている。本研究は現地調査によって現存植生を調べ航空写真から過去の植生を明らかにし、GIS技術を用いながら児島半島の植物群落の分布と立地環境の関係を明らかにし、さらに群落分布の変遷と環境条件の関係を解明することを目的とした。

方法

調査地は岡山県南部の岡山市南区の八丈岩山(花崗岩)と金甲山(堆積岩)として、1.5×1kmの範囲で行った。植生調査は2013年11月~2014年5・6月に行った。群落は、各調査地点の種組成を比較して区分した。現存植生図は群落を凡例として、現地踏査によって作成した。なお、その際には空中写真の判読を補助的に用いた。過去の植生図は1970年と1947年撮影の航空写真の判読によって作成した。植生図はGIS技術を用いて、年代ごとの変化と、地形属性(傾斜角度、集水面積、ラプラシアン)との対応関係を解析した。

結果

八丈岩山(花崗岩地域)は1947年には禿げ山、マツ低木林、マツ中木林が分布していた。1947年の禿げ山は、2013年には23.7%がマツ低木林のままであり、74.9%がマツ高木林へと変化していた。地形属性の分布を比較すると、マツ低木林に比べてマツ高木林は、傾斜角度が小さく、ラプラシアン(地表の凹凸の指数)はより凹型の地形であり、集水面積は大きかった(Dunn's procedure, P<0.05)。よって、歴史的な植生の変遷に地形属性が大きな影響を与えていた。


日本生態学会