| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-112 (Poster presentation)

属特異的プライマーによる本郷次雄標本の断片化したDNA増幅の試み

*今村彰生(北教大旭川),乾美浪,菊地淳一(奈良教育大),脇村圭,佐久間大輔(大阪自然史博)

大阪市立自然史博物館に本郷家で保管されていた菌類標本約6500点(Hongo herbarium)を移管した.この標本群には未同定のAmanita spp., Boletus spp., Cortinarius spp., Galerina spp.などが多数含まれている.これらの未同定(または未記載)種も, 標本とともに寄贈された本郷氏直筆の観察ノートには,標本の形態的特徴が詳細にしるされている. この標本を基礎とした分類学的進展やさらなる標本活用のためには,新たに採取される標本との照合のためにも, DNAシーケンスデータの蓄積と形態情報との統合的理解が必要であると考えられる.

昨年度大会までに,これらの標本の薫蒸にパラホルムアルデヒドが用いられたためにDNA増幅が困難であったことを報告し,新たに発表された担子菌増幅を目的としたメタゲノム解析用のプライマーであるITS1-F_KYO2,ITS3_KYO2など(Toju et al. 2012)を導入しても満足な結果を得られなかったことを報告した.そこで,属特異性を有するプライマーを開発し,PCR条件の検討などを行い,DNA増幅とシーケンスを試みた.その結果,標本数は多くないものの,Boletus属などについて120 bp前後の配列を読み取ることができた.今回は, DNAライブラリデータとの照合結果や実験結果の再現性の検討もふくめた一連の成果について報告する.


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