| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-122 (Poster presentation)

縄文時代以降の森林生態系と人の移ろいー琵琶湖周辺地域における遺跡の古生態学的データから

*林 竜馬(琵琶湖博), 佐々木尚子(京都府大・生命環境), 瀬口眞司(滋賀県文化財保護協会)

近年、過去の人間活動に起因する二次的自然の歴史的変遷が、生態学や考古・歴史学、古気候学的な観点から注目されている。過去の植生変遷については、これまでにも花粉分析等の古生態学的手法により研究が進められてきたが、空間的な植生分布の推定や考古・歴史資料との対比については十分な検討ができていない。本発表では、琵琶湖周辺地域における縄文時代以降の森林生態系と人間活動との相互関係史を明らかにすることを目指し、発掘調査にともなって分析された古生態学データを収集・整理した結果を報告する。

琵琶湖博物館の図書収蔵庫に保管されている滋賀県内の発掘調査報告書2236冊を確認したところ、花粉分析や大型植物遺体分析、出土木材同定、植物珪酸体分析、動物遺体分析等の古生態学データが200遺跡の報告書に掲載されていた。これらの古生態学データのうち、60遺跡の報告書に収載された全889層準の花粉分析データの入力と整理を実施した。

滋賀県内の遺跡で実施された花粉分析データを概観すると、縄文時代にはアカガシ亜属やスギ花粉が優勢であった。弥生時代以降になると、アカガシ亜属やスギ花粉が引き続き多いものの、イネ科やマツ属複維管束亜属花粉が微増し、連続的に出現するようになった。中世以降になると、花粉組成が大きく変化し、イネ科やマツ属複維管束亜属花粉が優勢となる一方、多くの地点でスギ花粉が減少した。弥生時代以降の、イネ科やマツ属複維管束亜属花粉が増加する傾向は、山地部に比べ低地部で早い時期から認められた。この結果は、琵琶湖周辺地域における自然環境の歴史的変遷について、考古学的時代区分に従いながら、地域毎に復元できる可能性を示している。


日本生態学会