| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-194 (Poster presentation)

森林群落の空気力学的特性は蒸散にどう影響するのか?

*藤井新次郎, 中井太郎, 熊谷朝臣, 齋藤隆実(名大・HyARC), 佐藤永(JAMSTEC)

階層構造が発達した森林では、群落内の物理環境は鉛直方向に大きく異なる。東南アジアの熱帯雨林に広がる樹高が50~70mに達するフタバガキ林では、林冠から林床にかけて風速や放射は減衰する。樹木の個体サイズや分類群の機能特性により樹木のおかれる物理環境の違いが生じ、蒸散量や光合成量は変化する。そこで、本研究では個体ベースの植生動態モデルSEIB-DGVMを用いて、熱帯雨林における樹木の蒸散特性を分析し、群落蒸散量を推定した。このSEIB-DGVMでは、Penman-Monteith式を用いて単木あたりの蒸散量を算出した。その時、群落内の単木あたりの空気力学的特性を記述するために、まず群落内の風速の減衰を記述するモデルと森林群落高を定義するモデルを組み込んだ。次に、群落上の風速分布に対する地面修正量 d (m)、粗度長 z0には、群落の立木密度やLAIを考慮した新たなサブモデルを導入した。これらのサブモデルにおいて感受性分析を行い、群落蒸散量に対する効果を検証した。モデルシミュレーションでは、現地観測された30分単位の気象データをインプットし、実測のフラックス及び樹液流速データを用いて、1ヶ月の単木及び群落蒸散量のバリデーションを行った。


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